教育のプロが語る「できる子ども」は環境で決まる

教育のプロが語る 「できる子ども」は環境で決まる               2005年8月 ダイヤモンド社   北野大著 1600円

表紙

この本は工学博士、北野たけしの兄である著者と、
教育のプロ達との対談集です。

対談の相手は

・百ます計算、セキスイハイムと協業し、
 現在は大阪市の教育委員会もされている   
 陰山英男氏

・リクルート出身、
 東京都初の民間出身の公立校校長 
 藤原和博氏

・関西屈指の名門校「灘校」校長 
 河合善造氏

・桐蔭学園校長 
 鵜川昇氏

・東進ハイスクール有名講師 
 荻野文子氏

・関西の有名進学塾「浜学園」校長 
 橋本憲一氏

の5名です。

この本の重要なポイントは、かしこい子どもは「遺伝」などではなく、       家庭や学校などの「環境」で決まる、ということを、
多くの教育関係者との対談で明らかにしたことです。

特に、他の本とも共通して、
「できる子ども」の環境は、親の日常生活のなかに潜んでいる
ことを様々な方々との対談で訴えています。

私のこのHPもこの「環境」づくりを、重要と考えていますので、
とても共感をもっている本です。環境づくりは、
親とのコミュニケーションをベースにした、
よい習慣と、それをささえる住宅空間にある
というこのHPで述べていることの根拠となる本でもあります。

では個別の対談の中で、家庭での環境づくりについて
発言されているポイントを紹介していきます。

陰山英男氏

「早寝早起き朝ごはん」
できる子どもになるには、基礎学力向上が必要であり、
それを支えるのは「早寝早起き朝ごはん」であることを繰り返し強調しています。

睡眠時間と学力の相関関係があきらかになっている。
とした上で、親の生活が夜型になると、
子どもにも悪い影響を与える
「夜遅くまで塾にやって、家族だんらんもままならなくなったら、
伸びるはずのものも伸びないです」と述べています。

「ほめて伸ばす百ます計算の効果」
単純にほめるだけでなく、明日につながるような、
その子に応じた声をかけることが重要です。

百ます計算は、計算力のトレーニングではなく
やればできることの体感し、
集中力のトレーニングとして重要であると強調されています。

藤原和博氏

公立中学でもできる教養授業。
2003年東京都杉並区 和田中学校校長 民間出身初の校長

すべての基礎は生活習慣にある

基礎学力の前にまず生活習慣があって、
そこがきっちりしていれば、学力がつきだすと、応用力がのびる。
本来こういうしつけは家庭でやっていた。
と家庭でのしつけの重要性を述べています

印象的な言葉として

テレビを消して、3年間で100冊の読書
''「テレビをつけっ放しにして3時間以上もみせている家庭の
お子さんの学力は、本校では保障しかねます」''

とにかく夕食のときなど2時間以上つけっぱなしで
ダラダラ見せるのはやめてくださいとお願いしている。

子どもに勉強させたかったらテレビは消せ、親も見るな。

家族が茶の間に集まって悩み事を話し合うだけが対話ではない。
ふだんの生活のなかで、お互いの生き方、社会人として、
おとなの知恵でしっかり生活している様子をみて、
父母に対する尊敬の気持ちを持ち、
自分もしっかりしなければと思う、
それが対話ではないかと思いますよ。

といった家庭での生活習慣の重要性、
親子のコミュニケーションについての発言されています。

荻野文子氏

大手予備校「東進ハイスクール」のカリスマ講師
「マドンナの古文」として、受験生のあいだでたいへん人気。

私はこの方を知りませんでしたが、
TVCMで見たことがありました。
この本では、講師になる過程など興味深い話も書かれています。

その中で印象的なコメントをいくつか。

生きていくのに必要な知識なら、
読み書きそろばんさえできれば十分なんでしょうけれど、
それは自分の身長ぎりぎりの高さで生きているという感じがする。
実益にこだわらずに勉強をすると天井を高くすることができる。
生徒たちには天井を高くしたら気持ちいいよというんです。

受験に役に立たないことはしなくていい、というお母さん方もいますが、
読み書きそろばんプラス何か、がゆとりにつながるんでしょうね。
勉強もそうだし生活習慣においても。

小さいうちから塾通いで、勉強ばかりで、
お手伝いも遊びも不十分というのは問題です。
そういう子が大学受験期になるとどうなるか。
小さいうちは暗記とかひらめきだけでなんとかなったでしょうけれども、
大学受験ともなると、高いところから全体を俯瞰したり、
総合判断したりする力が必要になってきます。
小さいうちの生活体験が足りないと、
そういうときの応用力が出てこないんです。

普段相手にされているのが、大学の受験生ということもあり、
そういった発言をされています。

橋本憲一氏

関西で非常に有名な進学塾の塾長。
特に灘中への合格者数は常にトップ。

塾と家庭での役割分担を明確にしたコメントをされています。

勉強の内容に関してはおまかせいただいてもいいのですが、
何時から何時まで勉強しようとかを親子で決めて、
それだけはきっちりやる。
そういう習慣づけだけはしていただきたいですね。

やはり家で勉強することがそれほど苦痛じゃない、
というところまでは持っていかないと、
なかなか成績はあがりません。
親御さんも上手に持ち上げたり訓話的な
ことをいったりしながら、
勉強を習慣づけていただきたい。
それをやらないと子どもも、つけあがって
親のいうことを聞かなくなります。

しつけとか教育というものは、
やっぱり時間をかけて、手を替え品を替えて、
根気よくやらないといけない。特効薬はない。

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