知るプロセス
◆「知る」プロセス
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「かしこい子どもを育てるストーリー」の2つめのプロセスである
「知るプロセス」
についてお話しいたします。
「できるプロセス」を強く推し進めていくためにも、
いろいろなことを知っていることが必要となります。
この「知る」ことにも、こうすれば「知る」ようになる、
というプロセスがあります。
「できるプロセス」と同様、
親のバックアップがあることで、
子どもは「知る」ことにに対して、
より積極的になっていきます。
ぜひともこのプロセスを意識しながら、
子どもの知識の広さ、深さを拡げていってください。
私の考える「知る」プロセスは次のとおりです。
1:興味をもつ
↓
2:調べる
↓
3:差異がわかる
↓
4:考える
↓
5:覚える(五感をつかう)
というプロセスです。
さらに興味をもち、より深く調べ、
より知識が広がるというふうに、
なんども繰り返す「知るサイクル」となっていきます。
子どもはほおっておいても、
様々なものに興味をもちだします。
特に子ども用のテレビやゲームなどは、
子どもは勝手にその内容や、
キャラクターなどに詳しくなっていきます。
中高生になると、アニメやアイドル、ポップスなど、
ほおっておいても勝手に詳しくなって、
自分で「知る」プロセスを進めていけます。
勝手に子どもが好きになっていくものに対しては、
親はあまり制限せずに、さらに詳しくなるように、
関連する本などを買ってあげ、
「知る」ことの楽しさを経験させましょう。
我が家の場合は、長男はポケモン、機関車トーマス、
次男は遊戯王カード、ベイブレード、恐竜などに興味を持って、
いろいろな関連グッズに、
お年玉をつぎ込んでいました。
親から見ればつまらないもので、
いつまでこんなものに興味をもっているのやら、
と思っていましたが、
当然ながら、成長していくと、
子どもっぽいものには、いつかはあきます。
成長していくにつれより知的な興味、
例えば、鉱物、むづかしい折り紙、
読書、楽器演奏などに興味はうつっていきます。
子ども自身が、自分の楽しいと思っていたものが、
それほどではなくなる、
子どもっぽいものに「あきる」時期がきます。
中途半端に興味を制限してしまうと、
子ども自身も未練がのこってしまうことは、
あまりよくないことかもしれません。
知るプロセスの「1:興味をもつ」については、
どんな対象でかまいません。
ですが、アニメやゲームなどは、
あまり発展がありません。
特にこのメルマガでお話ししている、
東大合格につながるものではありません。
できればより広く深く広がりのある「自然」を対象とした、
動物、昆虫、植物、宇宙や
より大人の世界に近づく「機械」(車、鉄道、飛行機)、
「音楽」などに導いていけば、
子どもの世界よりずっと深く、
大人も楽しめる世界があります。
この興味の対象について、
「本」「図鑑」などを用意して、
親も一緒に楽しんでみてください。
「2:調べる」では
「図鑑」などは、子どもの状態をみながらですが、
大人でもちゃんと楽しめるようなものを与えてみましょう。
子ども自身が自分の力、自分のペースで、
調べられるように気をつけてください。
子どもはびっくりするぐらい、
専門的なものでも吸収してしまいます。
図鑑には様々な、同じ種類のものが載っています。
その違いがわかってくると、確実に理解が深まります。
「3:差異がわかる」
差異は、形であったり、色であったり、手触りであったり、
見たり、触ったり、聞いたり、食べたりといった、
感覚と一緒に体験できれば、さらに深い理解と知識になります。
そのためにも、博物館、植物館、動物園、プラネタリウムなど、
実際のものに触れられる場所に、つれていってください。
この差異がどのようなものであるか、
理解できるようになれば、
一気に覚える力がついてきます。
知識、記憶として定着します。
なにも頭を使う知識だけではありません。
野球でいえば、ピッチャーの投げる様々な球種について、
投げ方の差異や、同じ球種でもピッチャーによって
まったく別のボールとなるような差異について、
気付くことができれば、
理解が深まり知識となっていきます。
サッカー、テニス、フィギアスケートなどのスポーツでも同じです。
プロが様々にくりだす技の差がわかると、
より興味をもち、子ども自身が考え、取り組むことができます。
差異がうみだす事柄や、現象、効果などがわかれば、
様々な考えがうまれます。
自分ならどうする、他の可能性はないのか。
自分で考えることにつなげるようになり、
また興味の対象が自分のものとなっていくとき、
記憶、知識として自分のものとなっていくのです。
親はこのプロセスがうまく進むように、
興味の対象を与えたり、問いかけたりしてみましょう。
このような「知るプロセス」を自分ですすめていくことができれば、
「覚えようとしなくても、勝手に記憶にきざまれる」
という経験を積んでいくことができます。
そのような経験を積んでいれば、中高生にになって、
定期テストなど、覚えなければいけないことがたくさんあるとき
「覚えようとすれば、覚えられる」
という自信と実力がついていくのです。
子どもが小さい頃に、たくさん「知る」、
いろいろなことを覚えるという経験が少ないと、
「覚えなければいけないときに、覚えられない」
という子どもになってしまうのです。
なにも無理やり知識をふやして、
いろいろ覚えさせろというのではありません。
自分の興味のあることは、勝手に覚えられる。
そういう経験をたくさんさせてください。
そうすれば、「覚える」ということに対する、
ハードルが下がり、
興味のないことでも、
必用であれば、覚えようとすれば覚えられる子どもに育つのです。
大学受験でなくとも、定期テストなどに漢字や英単語など、
単純に覚えているかどいうかを問う問題が試験にでます。
また、数学や物理などは、知っている公式や知識をもとに、
問題を解いていかなくてはいけません。
英語だけでなく古文や漢文なども、
単語、文法を知っていなくては問題を解けません。
つまり、東大に限らず受験を乗り越えていくためには、
「知っている」ことをベースに、
類推したり応用したり「できる」ことが必要なのです。
そういう「知る」能力と「できる」能力をもっているかどうかを
受験では問うているのです。
これまでお話ししてきました、
「できる」プロセス、「知る」プロセスが大切である、
という理由はこういうことなのです。
なにも受験だけではありません、
社会にでて活躍するためにも、備えておくべきことなのです。
いきなり、知識が豊富になることはありません。
できなかったものが、できるようになることもありません。
地道にコツコツと積み重ねたものが発揮されるのです。
できるだけ早い時期に、子どもとの日常生活のなかで、
自然とこのプロセスが身に付くようになれば、
中学、高校になれば、勝手に自分でやるべきことをやって
東大に塾にもいかず現役で合格する子どもに育ちます。
親はこの2つのプロセスが
うまく子どもの中で進んでいくことに注意してください。
決して強要したり、自分の考えを押し付けたり、
過度に干渉したりしないように気をつけましょう。
あくまでも、子ども自身が、自分の力で、
このプロセスを身につけていくことが重要なのです。
以上が、私の考える2つのプロセスのお話しです。
やや堅苦しい話しになってしまったかもしれません。
理論的にはこのようなことなのですが、
実際の家庭生活では、子どもと楽しく会話して、
いろんなことができるように、
親もさまざまな新しい発見をしながら、
いろんなことを知るようになる。
そんな楽しい生活であることが、
子どもにとってもよりよい影響を与えていきます。
ぜひとも、「できる」「知る」というプロセスがあること、
親のはたらきかけで、子どもは自分でこのプロセスを進めることができる、ということを知っておいてください。