2:学研NEXT 子育てde家庭教育 ベスト住宅

学研Next 子育てde家庭教育 ベスト住宅

という長いネーミングと、主にマンションデベロッパーとが
タイアップして「頭の良い子どもが育つ家」として宣伝しています。

陰山氏は長い教育現場での実践経験、
四十万氏は膨大な名門中学合格者の家庭調査を通じた
バックグラウンドによって住宅へ展開しようという流れがあるのですが、

この学研Nextについては、どうもベースとなっているもの、
そしてそれを展開する方法がわかりにくいものになっています。

学研Next社のHPをみても、このベスト住宅については、
何もとりあげていないということも、
学研Nextとしての取り組みが薄い印象を受けます。

その提案している内容は、
マンションのプランと、そこに付けられているコメントから
ある程度は類推できます。

子どもをかしこく育てるために、
大きく4つのポイントと、そこに具体的な方策を列挙し、
合計50項目のうち、そのプランがいくつポイントをもっているかを、
HP上に載せています。(だいたい45ポイント以上といったところでしょうか)

その4つのポイントとは

1.しつけと学びのしかけ
リビングに子どもの日用品の収納スペースがある。
リビングに学習用品、文具や筆記具の収納スペースがある。
リビングにおもちゃやゲームなどの収納スペースがある。
子どもの作品やテストなどの収納スペースがある。
読書や勉強もできる大きめのダイニングテーブルがある。
(ほか10項目 計15項目)

この項目からは、リビングに子どもの勉強道具が、
すぐにとりだせ、片づけることができるようになっている
ことが大切であると考えていることがわかります。

2.学習のための教育環境
家族で楽しむ絵本や本がある。
家族で調べるための図鑑や事典がある。
家族で調べるための地球儀がある。
リビングや寝室などに読み聞かせ、読書環境への工夫がある。
お風呂で短時間の学習ができる工夫がある。
トイレで短時間の学習ができる工夫がある。
(ほか9項目 計15項目)

この項目からは、読書を重要視していること、
気が付いたら図鑑などすぐに調べられるようになっていること、
お風呂、便所など、どこでも学習できるようにしていることが、
大事だと考えていることがわかります。

3.賢い親子のコミュニケーション
ダイニング・リビングで子どもの勉強を見てあげる工夫がある。
テレビスクリーンなど食事や会話に集中できる工夫がある。
作品や写真などを飾るギャラリースペースがある。
キッチンからダイニング・リビングのようすがわかる工夫がある。
(ほか6項目 計10項目)

この項目からは、子どもはできるだけダイニングに
いるような生活として、母親のいるキッチンから常に、
コミュニケーションができるようにする、
ということを重視していることがわかります。

4.家事と育児の軽減
収納スペースにはとびらがあり、ホコリなどが入らない配慮がある。
“くつをそろえる” “服をたたむ”
などの生活習慣を身につける工夫がある。
トイレに子どものための配慮がある。
キッチンスペースに子どもへの安全配慮がある。
(ほか5項目 計10項目)

家事の軽減や、生活習慣をみにつけさせようという
工夫がなされているかを、ポイントとしてあげています。

という具合に、チェック項目があるのですが、
計50項目がどこにもまとめて載せられていないので、
どうも、全体像がわかりにくくなっています。

また、この項目を載せてポイントが高いプランとなっているものと、
普通のマンションの間取りとどれほどの違いがあるのか、
を冷静にみてもらうと、たいした違いがないことがわかると思います。

述べられていることは、学研のオリジナルな研究成果によるもの
といったことでもないようですので、
建築計画的になにか新しいものがあるかというと、
残念ながらそのようなものはありません。

この学研との業務提携をコーディネイトしている会社のHPにはっきりと、
「学研」というブランド名を、マンション販売業者への
販売促進として利用することが目的であることが明記されています。
また「既存の間取り」と「周辺環境」を、
うまく教育に結び付けた売り文句を考えてくれる、
と読める文章もあります。

集客力を高めるためだけのツールとして、
「頭のよい子どもが育つ家」をうたっているマンションが
他の住宅と比べて、ほんとうに魅力的かどうかは、
購入者自身が判断するべきことですが、
マンションのプランも数多く手がけている私としては
(実にトータル2000戸近くマンションの設計をしています)
それほどインパクトのある内容には思えません。

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