自宅紹介(こんな想いで設計しました)
~住宅という小空間に
どれだけ豊かな空間を創りだせるか~
自宅を設計したときの、いわゆるメインコンセプトです。
設計者としては、限られた空間のなかで、
どれだけ多彩なスペースをうみだせるか、を考えて設計しました。
これは住宅メーカーやマンションがメインとしている、
nLDKといった間取り重視のアプローチとはかなり異なる方法と思います。
プランの特徴をご説明します。
写真をクリックすると大きな画像になります。
・空間をおおきくつかう-2LDKに5人が住む
この家は間取りでいえば、「2LDK」です。
ほんとに5人家族が住めるんかいな?
と思われるかもしれません。
子供が3人いるのですが
(しかも男の子2人、女の子1人)、
個室はありません。
個室といえるスペースは子供のスペースと、
夫婦のスペースの2つです。
豊かな空間をうみだすためには、
「室」として小さな住宅空間を細かく区切るのではなく、
できるだけオープンなスペースをとしていくことで、
のびやかな空間をつくりだします。
・空間をつなげる-扉は不要
普通の家では当然のように部屋には扉があります。
ですが、この家ではトイレ、お風呂、玄関だけにしか扉がありません。
子供スペースにも、夫婦のスペースにも、洗面所にも扉がありません。
なぜ部屋を扉でくぎるのか
当然のように思っていることを考え直すと、
この家には個室もありませんので、
壁の配置や、立体的にスペースのつながり方を工夫することで、
扉をなくし、空間のつながりを重視した住宅としています。
・空間をフルにつかいたおす-断面をデザインする
この敷地は「第1種低層住居専用地域」といって、
高さの制限や、日影の規制が厳しい敷地で、
周りはだいたい2階建ての家がたっています。
通常の家ですと、天井高さはだいたい2m40cmぐらいで、各部屋の天井高さはほぼ同じです。
この家では天井が2mしかない廊下や、
天井をはらない(上の階の床板がみえる)
などの工夫で、3階建てとしています。
そのおかげで、高さ4mもある吹抜けや、2m70cmもあるダイニングなど、メリハリのある内部空間をつくりました。
各階プラン
1階:水周り・クロゼット(納戸)・主寝室
ざっと各階のプランをご紹介します。
それぞれのスペースは別のページでご紹介しますので、
ここでは、おおまかな家の構成をご説明します。
平面図をクリックすると大きな画像になります
1階には、夫婦のスペース(私の書斎付き)と、
洗面所とつながった浴室と納戸、そして収納と便所です。
夫婦のスペース、洗面所に扉はありません。
ですが、玄関や廊下からは、
あまり中がみえないようにしていますので、
扉がないことは問題ありません。
洗面と納戸(主にクローゼット)が1階にあるので、
家族は家に帰ってくると、
すぐ洗面で手洗い、うがいをして、制服を着替えて、
2階にあがる習慣がついています。
私は会社から帰宅すると、
スーツを脱いで、そのままお風呂に入って、
きれいになってから、2階で晩御飯をたべる、
というリズムで生活しています。
またクロゼットを1階にしていますので、
子供スペースにはクロゼットがいらなくなります。
洗面台は約2mの長さとしています。
朝、でかける前に子供たちと時間が重なったり、
寝る前にお風呂と歯磨きが重なったりしますが、
長さのある洗面台のおかげで問題はありません。
2階:ダイニング・キッチン・リビング(レッスン室)
2階は私達家族の生活の中心となるスペースです。
南に面してダイニングスペース、キッチンとしました。
ダイニングには長さ2m20cmのテーブルがあり、
常に家族が集まる、まさに家族の中心となる場所です。
ダイニングに面したバルコニー、パソコンスペース、
そして、北側には妻がヴァイオリンを教える
レッスンスペースがあります。
ダイニングと段差をつけ、天井高さも
ちがっていますので、一体でありながら、
別々の目的でつかうことができます。
レッスンスペースは、普段はピアノや楽器の練習、
TVスペース、冬は床に座って、
家族で鍋をかこむスペースとなります。
レッスンのときには、
半透明の間仕切りをセットして、
視線をカットしてレッスンを行います。
その時間家族は、じっと本を読んだり、
勉強したりといったそれぞれが集中する時間となります。
もちろんその間はテレビはみることはできません。
東のバルコニーは、洗濯ものを干すスペースですが、
季節のよいときには、バーベキューをしたりします。
3階:子ども室
2階かららせん階段を上ると、子供たちのスペースです。
約13畳のスペースを3人でシェアしています。
南側に向けて、それぞれに窓を1つ配置しています。
その南の壁に長さ7mのカウンターを設け、
それぞれ十分な長さの机としています。
1階にクロゼットをまとめましたので、
本棚と、可動式の折りたたみベッドだけがあります。
普段はベッドはだしっぱなしですが、
いざというときには、ベッドをおりたたんで
広く使うこともできます。
2階のレッスンスペースと吹抜けで連続していますので、
音はつつぬけですが、それぞれの気配を感じられる空間です。
断面計画
木造3階建ての住宅ですが、
各階の床レベル、天井高さを操作することで、
各スペースが特徴のある空間となるように工夫しました。