できるプロセス

◆「できるプロセス

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かしこい子どもを育てるストーリーの、<2つのプロセス>
:「1-できるプロセス
:「2-知るプロセス

のうち「1-できるプロセス」についてお話しいたします。

この内容は、子育て、教育に関連する本で
主に取り上げられる事柄です。
これを、子どもがかしこく育つストーリーという
流れのなかに位置づけることで、
より理解を深めていただきたいと考えています。

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子どもにかぎらず、なにか新しいことに取り組んだとき、
どのようにそれが「できる」ようになるのでしょうか。

小さい子どもが自転車に乗ることができるようになったり、
サッカーのリフティングが上手にできるようになったり、
野球でボールを投げたり、とったり、打ったりすることと同じように、
勉強においても、数学でいえば、足し算、掛け算に始まって、
関数、因数分解など、
新しいことができるようになることには、
あるプロセスがあります。

運動などは、何度も繰り返しトレーニングすることで
体で覚えるというイメージがありますが、
体が主体であっても、つねに頭をつかって
考えながらトレーニングすることで
より速く、より上手にできるようになります。

そのプロセスは次のとおりです。

1:人に教えてもらう(実演をみる、やりかたを教えてもらう)
   ↓
2:自分で同じことをしてみる
   ↓
3:ゆっくりでも、すくなくてもよいので少しできるようになる
   ↓
4:もっと速く、もっときれいに、より良く、
  より正確にできるようになる
   ↓
5:そのことをつかって(組み合わせて)応用ができる

このようなプロセスをへて、
子どもはいろいろなことが「できる」ようになっていきます。

運動でも、勉強でも、ふだんの生活の細かいことについてもです。

このプロセスを子どもが自分の力で
無意識にできるように育てようとしてください。

そうすれば、ゴールである
「自分のことを自分で考え行動できる子ども」に育っていきます。

そのためにはこのプロセスを小さいころから、
親の導きで、いろんな場面で経験させることが必用です。
「できる」ことを増やしていくことが重要です。

たとえば、小さい子どもが自分で服を着たり、
くつを履いたり、おはしを持って食べられるようになること。

このような小さなことも、親があせらずじっくりと
自分でできるようになることを見据えて導いていくのです。

子どもが「できるプロセス」のどの段階にいるのかを
親が注意して観察し、つまづいているならば、
うまくできるちょっとしたアドバイスをしてあげれば、
子どもは自分でできるようになります。

いきなりなんでもできるようになるのではありません。
このプロセスを少しずつ進んでいくのです。

少しでもすすんだのであれば、
そのことをほめてください。
ちゃんと言葉をかけてほめてください。
結果だけではなく、
このプロセスをすすんでいるということをほめてください。

そうすると、子どもはさらに新しいことに対しても、
自分ならやればできる。という自信になっていきます。

決してできないからといって、
怒ったり、焦らせたり、バカにしたりしてはいけません。
子どもがやるのを取り上げて、親がやってしまってはいけません。

ゆっくりでも少しずつできるようになることを信じて、
この「できるプロセス」をどれだけたくさん経験できるか、
より速くプロセスをまわすことができるかを、
親はきにかけてください。

そうすると親が導かなくても、
自分でこのプロセスを子ども自身で、
勝手にできるようになっていきます。

子どもが成長することは、できることを増やしていくことです。
それを親が、よりうまくできるようにコーチしていくのです。

東大を受験するということは、
自分はこの難しいといわれる大学して合格「できる」という自信と、
入学試験という難問に対しても、
これまでできた経験を総動員して、
答えることが「できる」という、
自分は「できる」という確信を持っている人が受験し、
合格するのです。

いきなり東大合格ということはありません。

勉強の積み重ねではなく
「できる」経験の積み重ねが、
東大の合格につながるのです。

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このプロセスの中で、現在よいといわれる
子育て法を活用していくことができます。

たとえば、「百マス計算」というのがあります。
これは、「できるプロセス」の中でも、
簡単な足し算、引き算を、いかに正確に高速にできるか、
を同じ問題を、時間をはかることで、
より正確さを増していく勉強法です。

集中力や自信がつくということは、
その副次的な効果としてありますが、
このプロセスを親が理解していれば、
どのような事柄でも、集中力や自信をもたせることは可能です。

「百マス計算」ばかりをずっとやることよりも、
先述の、より速く正確にできるようになるという、
4番目のステップがクリアできているならば、
さらに応用していくプロセスに、
どんどん進ませていくべきと私は思います。

また、最近は「ほめる」「しからない」子育てがよい
とよく言われています。
これは「できるプロセス」をうまく進めるために必要だと理解できます。

1番目のプロセス「人がやったことを、まねしてできる」ようになったり、
少ししかできなかったことが、よりよく、より早くできるようになったりと、
できるプロセス」の場面で、
「よくできるようになったね」、
「こんなに早くできるようになったの」
といった、ほめたり、励ましたりすることが、
子ども自身が、様々なことを自分でできていくためには、特に効果的です。

「ほめる」ことがよいからといって生活全般について、
叱ってははいけないのではありません。
子どもがよくないことをしたときは、
ちゃんと叱らなくてはいけません。

ほめたり、励まするのは、子どもが新いことに
チャレンジして頑張っているとき、成果がでなくても、
その頑張っている姿をほめ、はげましていくのです。

また子育ては「コーチング」である、
ということも、最近はよく耳にされると思います。

これも、「できるプロセス」を、進めるためには、
命令やスパルタ、やみくもにやらせるのではなく、
適切なタイミングで、うまくいかない原因について、
コーチすることが重要ということです。

これは、3番目の「うまく、早く、よりよくしていく」
タイミングで、本人が気づかないポイントを指摘し、
うまくいく方法をアドバイスすることで、
このできるプロセスを進めていくことになるのです。

様々な子育てのアイデアや方法は、
必ずなにか効果はあるはずです。
それを自分なりに、どのように活用するかを考えてください。

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